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神経内科医ちゅり男のブログ

「気ままに、ほどほどに」がモットーのゆるい神経内科医が日々の気づきを書いていきます。ただそれだけですが、よろしく。

喫煙が人体に有害なのは間違いないが、パーキンソン病の発症率は下がるという事実

たまには真面目に自分の専門である神経内科関連の話をしてみる。

本日はパーキンソン病と喫煙の関連について。

パーキンソン病は主に50代~70代で発症する神経変性疾患で、有病率は人口10万人あたり150人程度である。

年齢が上がるにつれて発症率も上昇し、75歳以上では約100人に1人がパーキンソン病であると言われている。

40歳以下の若年で発症した場合には、遺伝性のものが多い。

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 喫煙者のほうがパーキンソン病の発症率が低いという驚くべき事実

パーキンソン病の運動症状

パーキンソン病には、4大症候と呼ばれる代表的な運動症状がある。

1) 安静時振戦:手足の震え

2) 筋固縮:手足の筋肉のこわばり

3) 無動:身体の動きが遅くなる

4) 姿勢反射障害:バランスが悪くなり、倒れやすくなる

全ての患者に上記の症状が全てそろうわけではないが、上記の症状が年齢とともに徐々に進行してきた場合には、パーキンソン病の発症を疑う必要がある。

 

パーキンソン病の非運動症状

パーキンソン病では、上記のような運動症状が出現する数年前から、様々な非運動症状が出現してくることが近年分かってきている。

代表的な非運動症状は次の通り。

・便秘

・排尿障害

・立ちくらみ

・発汗障害:汗をかかなくなったり、かきやすくなったりする

・うつ

・嗅覚障害:においが分かりづらくなる

・REM睡眠行動障害(RBD):夜間寝ている時に、夢の内容に関連した行動を起こしてしまう病気

これらの非運動症状は、手の震え、筋肉のこわばりなどの運動症状の数年前から先行して出現すると言われている。

 

パーキンソン病の発症率は喫煙者の方が低い

www.ncbi.nlm.nih.gov

上記の論文では、様々な生活習慣とパーキンソン病発症との関連について論じられている。

Lancet Neurologyに載った論文であり、過去のパーキンソン病の疫学研究のレビューであるため、かなり信頼性は高いものと考えられる。

この中で、喫煙者でのパーキンソン病発症率は、非喫煙者と比較して最大70%程度減少すると記載がある。また、禁煙を始めてからの期間が長くなるにつれてパーキンソン病の発症率が上昇するとのことだ。

他の因子(カフェイン、アルコールなど・・・)と比べて、喫煙のパーキンソン病発症リスク減少効果が高いようだ。

 

とはいえ、喫煙は他の生活習慣病の大きなリスクファクターであるため勧められない

喫煙がパーキンソン病の発症率を下げることは明確なようだが、これを根拠に喫煙を勧めるわけにはいかない。

なぜなら、喫煙は他の生活習慣病の大きなリスクファクターであることが明確だからだ。

パーキンソン病は寿命に関わる疾患ではないが、心筋梗塞や脳梗塞などの血管障害、肺気腫などの肺疾患は直接生命に関わりうる疾患であり、喫煙はこれらの疾患の発症率を大きく上昇させてしまうからだ。

今後重要なこととしては、タバコの中のどの成分が、どのように作用してパーキンソン病の発症率を下げているのかを解明していくことであろう。

それを解明して、薬の開発などにつなげていければ面白いのかもしれない。

 

まとめ

・喫煙はパーキンソン病の発症率を下げる可能性が高い

・タバコの中のどの成分が、どのように人体に作用してパーキンソン病の発症率を下げているのか、そのメカニズムを解明する必要がある

タバコ以外の生活習慣とパーキンソン病の関連についても、また続編としてお伝えしていく予定。